幻冬舎 板垣恵介 「裏最強土下座」って本を読みました。
板垣はバキシリーズを代表作とする漫画家で、私もよく漫画読んでいるのですが、この本は活字の文章だけの本なのに、読んだ感覚が板垣の漫画を読んだときと全く同じでした。
板垣は漫画でなく文章だけの本を執筆しても、出来上がるのは板垣漫画なのです。
この本は土下座をテーマにしたエッセイ本のようなもので、板垣の持つ土下座論がとうとうと語られています。
板垣はかつて「どげせん」から「謝男(シャーマン)」という土下座をテーマにした漫画を手がけていて、謝男を連載してた時期にこの本も出版されました。
私はこの2作も大まかに読んでいて、この本はその2作…特に謝男を読んだ感想とほぼ同じです。
違うのは漫画か文章か、語っているのは作者板垣か漫画の主人公拝一穴(おがみ・いっけつ)かというところだけです。
「土下座とはかくあるべし」などなどの持論が26編に渡って語られています。
変な理屈を説得力があるようなないような妙な言葉で熱く説きます。
本当に漫画と一緒だなあーと思いました。
うーん、どうもなんかこの感覚をブログで説明しきれてない気がします、
私は言葉で押し切るような説得力が板垣の足元にも及ばないなあーって思います。
ともあれ内容は、やっぱり板垣漫画と同じで「何言ってんの?」と思うのもあれば、「なるほど」と感嘆するのもありました。
この世の土下座を白土下座、黒土下座という謎のカテゴライズをしてます。
幼少時に親に意にそぐわぬ土下座を強要された記憶がある板垣は我が子にはそんな思いをさせるまいと「言って聞かせる」教育を心がけるようになったというくだりは素直に感心しました。
あとは自分自身が編集者に土下座をされて面を食らってつい向こうの言い分を受け入れてしまった話などは笑いました。
そういう経験から土下座をテーマにした漫画を執筆しようと思ったそうです。
なるほどなあー。
そして、「どげせん」は板垣とRINこと笠原倫との共著なのですが、笠原との確執から連載終了に至った経緯も少し明かされています。
板垣の話が事実なら笠原に落ち度というか至らぬ点が多かったようです。
しかし、袂を分かってその後笹原が一人で執筆した「どげせんR」は短命で終わりましたが、「謝男」もどうも完結が曖昧になってる感じで、板垣が大差で自らの理を証明したという感じもあんまりしません。
全体的な土下座論は面白かったです。
この本を読んでそれを楽しむのもよいです。
そして漫画「謝男」で読んでもたぶん得る感想は同じになることでしょう。
私は人生でガチの土下座はしたことありませんが、できることなら黒土下座とやらは一生しなくて済めばいいなあーと思いました!