先週の週刊少年サンデーで八木教広の「蒼穹のアリアドネ」が連載始まりました。
読んだ瞬間、あれ?どっかで読んだ記憶があるぞ?と思ったのですが、やっぱりそうでした。
かつて週刊少年ジャンプで読み切りで発表した作品がこれのパイロット版でした。
八木は「クレイモア」の作者で…私としては「エンジェル伝説」がとても素晴らしい作品でしたが…月刊ジャンプとSQでずっと活躍してた漫画家です。
クレイモアが終了してかなり経って、ある日ジャンプに読み切りが乗ったときには「へえー」と思った記憶がありました。
調べたらその読み切りは「月光のアルカディア」ってタイトル。
内容はまさに「大冒険物語のパイロット第1話」で、もしこの読み切りが好評だったら連載を始めますよ!という気満々な感じで。
ジャンプに限らずそういうのは時々ありますね。
「ワンピース」もそれで、「ロマンスドーン」ってプロトタイプ読み切りがまず発表されてました。
あと「To LOVEる」のプロトタイプの「トランスボーイ」は原型をとどめていません。
でもこの月光のアルカディアはジャンプでは連載にはこぎつけなかったということが今回結果的に判明しました。
きっと、作者八木とジャンプ編集部が人気結果などなどをすり合せて「残念ですがうちでは連載することができません…」みたいなやりとりがあって、八木はジャンプ(集英社)での連載は断念して、他社に手を広げてどこかで連載できないか打診していったのでしょう。
それでどんな経緯があったのかこのたびサンデーでの連載が決まったと。
ついいろいろと想像してしまいます。
ジャンプとサンデーでは雑誌の発行部数はケタ違いですから、原稿料というか収入もきっとかなり差があります。
単行本がもし何十万部、何百万部と売れたらそっちの利益はとてつもないのでしょうが。
八木はそれらも当然考慮の上で、サンデー編集部と協議して「ここで連載する!」と決意した、と。
立ち上げるまでにはいろんな苦労があったに違いありません。
私自身が第1話、第2話を読んだ限りでは、なんというか、新鮮な点や驚くべき点はありませんでした。
正直に言ってありきたりだなあーと。
ただ小学生から20代前半くらいの若い読者なら違うかもしれません。
若年層なら新鮮に映ります。
鈴木央の「七つの大罪」がまさにそうでした。
これも奇しくもジャンプ作家が他社で連載を始めたパターンで、(私から見たらありきたりな)ヒロイック漫画を始めたら若い読者から支持を得られました。
「移籍」自体にも新鮮味がありますし、安定作、大ヒット作となれる可能性はゼロではありません。
一度どこかの雑誌で読み切りを発表したけどそこでは連載に至らず、他社で始まるというのは漫画業界全体ではたまにあることです。
柴田ヨクサルが今イブニングで連載中の「妖怪番長」も最初はヤングジャンプ系で読み切りか不定期連載かをやってたような。
しかし週刊少年ジャンプと週刊少年サンデーというメジャー誌の間で行われたのは初めてかもしれません。
今回それにちょっと驚きました。
ただ、例えば「聖闘士星矢」の車田正美が作品ごとジャンプからチャンピオンに移籍したりと、今はいろんな形で作家や作品が移籍すること自体は結構当たり前になったんだなあーと思ったのでした。
さてこの蒼穹のアリアドネもしばらくは様子見でチェックしていこうと思います。
はたしてバケるかコケるか、頑張れ八木教広!
ただ、作品タイトルは「(漢字)の(カタカナ)」の形に拘らずにもっと思い切り変えてもよかったのではと思わなくもないです。
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