柏書房 藤井青銅著 「「日本の伝統」の正体」と「「日本の伝統」という幻想」って本を2冊読みました。
タイトル通りの本です。
「誰も損をしない伝統ならあってもいいけど、そうでないならぶっ潰していいよ」ってことが言いたい本っぽいです。
作者はここまではっきりとは言ってないけど「そう言いたいんだろうなあー」ってことを節々で感じました。
読んでて驚いたこととか意外なことはぶっちゃけ一つもありませんでした。
「正体」のほうは、日本にある伝統と呼ばれている様々な物事を実際はどうなのかを調べて紹介する本で、「幻想」はその続編で、伝統を商売にすることや、伝統を名乗って害がある例とかを調べてる本でした。
それで、紹介されてる物事一つ一つは「え?そうだったの?」とか意外なことは無くて、薄々「そんなもんだろうなあー」ってのはきっと多くの人が感じていると思います。
その「薄々」を「結構しっかり調べて発表している」のがこの本って感じで。
例えば演歌。
現在の演歌は単に50年前くらいの流行歌なだけ。
ただそれには150年くらい前から原形らしきものがあって、昭和前半のラジオ、レコード、テレビの発展に合わせて商売として演歌の形が作られてきたと。
伝統ってやつはだいたい商売が絡んでるのだと。
初詣という習慣も、明治時代に日本に鉄道が開通して、客を集めるために鉄道会社がそう宣伝してうまくいったから定着しただけのものだったりして、やっぱり商売です。
商売なら別にいい。
100年の歴史の物を「1000年の歴史がある!」とか言って売るのだったら嘘だから良くないけどボンヤリ「伝統……かもよ」みたいにして売るの自体は何も悪くない。
でも悪い伝統ってのもあって、作者はそういうのを「伝統マウンティング」と名付けていくつか紹介してます。
例えば大相撲の土俵の女人禁制。
相撲という概念自体は古代からあるけど、昔は別に女人禁制でもなかったのに、明治ごろにそうなっただけだとか。
女性が上がるのを禁止する理由は「伝統だから」以外には何一つないみたいです。
あと感心したのは「着物警察」。
若い女性が自由に着物を着てると、見知らぬばあさんにイチャモンをつけられるのだそうです。
そういう現象が発生する理由をめっちゃ論理的に解説してて感心しました。
過去の着物ブームで「着付け教室」が多く生まれた時代の女性が今ばあさんになったことと、着物業界が高級化路線で衰退しまくって現在の着物は低価格化と自由さが重視が主流になったので両者の間に溝ができたせい。
なるほどなあー。
着物警察やってるばあさんは自分の利のために善意の皮を被ってイチャモンつけてるわけです。
それに限らず他人に伝統を守らせようとする人らはたいてい利己のためにそうしてることが解説されてました。
ただ作者はこういう伝統マウンティングを日本人の気質のように書いてるのですが、私は日本に限らずどこの国でもいつの時代でも人間はみんなそうなんじゃないかなと思いました。
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