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どろろ感想 醍醐の国はいっぺん滅んだほうがいい

アニメのどろろ、今週の話すごく良かったです!

 

最悪な世界の中、お前らみんなもう自分のやりたいことを一切遠慮せず徹底的にやり通せ!

 

 

 

これまで百鬼丸鬼神を倒しても体のパーツが戻ってこなかったことが何度かあり、理由がよくわかんないまま私は深く考えもせずぼーっと視聴していました。

 

そのパーツ、目と右手と左手は、百鬼丸が生まれたときに本来頭を奪う筈だった鬼神が(仏の邪魔が入って奪えずにいた怨念で)離さずにいたのを、ちょうど目と右手と左手をそれぞれ百鬼丸に奪われた多宝丸陸奥兵庫「移植」してけしかけるという鬼展開に驚きました。

 

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この展開、勘のいい人だったら彼らの体のパーツの伏線に前回で気づけたのでしょうけど、私はぼーっとしてたので純粋に意表突かれて非常に感心しました。

 

この作品私は21話まで視聴してて、全体的なストーリーは面白いけど細部は結構粗いと感じてて多少気が抜けてました。

 

そこへこの展開ですから本当に度肝を抜かれました。

 

「いいぞ多宝丸!」と思いました。

 

そして妖怪の馬となぜか共闘してバーサーカーしてる百鬼丸もいいです。

 

躊躇せずに激突する二人に拍手喝采です。

 

どんな犠牲を払っても何を失っても己の決めた道を突き進め!

 

 

 

 

それにしてもこの作品、醍醐の国……というか鬼神の約定システム……というか世界観そのものは本当に酷い代物です。最悪です。

 

この世界では人の上位存在として仏と鬼神が存在する設定なのに、仏はろくに人々を救済してくれず、世に横行するのは鬼神どもと人の悪意ばっかり。

 

それでいて、あの世界では人は、人を殺すと魂が赤く鬼神寄り(ダークサイド)に染まっていくルールなんだそうです。

 

どんな悪党でも凶暴な侍でも。

 

野良妖怪は殺しても別にそうでもないのに。

 

悪党側にかなり有利な不公平ルールだと思います。

 

んー、正義の味方が正義の心で悪を成敗するのなら染まらないのかな?

 

百鬼丸が人を殺すときは大抵怒り狂っての激情で以ってでしたから。

 

でも百鬼丸の怒りだってそもそも鬼神からあまりに理不尽な仕打ちを受けたからであって、人の道を外してるとは思わないです。私は。

 

 

 

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白馬の妖怪と意気投合したときは「なんじゃそりゃ!」と思いました。

 

でもまーお互い醍醐の国に理不尽な仕打ちを受けた物同士。

 

怒りや恨みの対象が国全体に及んだのか、人馬一体となり侍どもを殺し回る姿はもはや鬼神以上の何か。

 

私は以前のブログで、鬼神どもは赤ちゃん一人の体のパーツなんか奪ってどれほどの価値があるのか謎だと書いたのですが、鬼神どもの目的の一つはもしかして百鬼丸をダークサイドに落として鬼神仲間に引きずり込むことだとか???

 

なんにせよ百鬼丸は着々と鬼神化が進みます。

 

 

 

どろろはそんなアニキに「人殺しやめてほしい」「鬼神にならないでほしい」としきりに願いますが、これはなんか、戦争反対と叫んでれば戦争がなくなると思ってる人みたいで、幼稚というより逆に老人みたいに見えます。

 

ただ一方で彼女のアニキへの愛とアニキの境遇を(頭では)よく理解してる葛藤も伝わってくるので彼女に対して「じゃあ百鬼丸に戦うなって言うのかよ」なんて指摘はとてもできません。

 

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この作品で一番苦悩してるのはきっとどろろ。つらい!

 

 母性に飢えている彼女ですが、彼女自身が母性を持ちつつあります。良くも悪くも。

 

あと隠し財産にはなんかあんまり興味湧かないんですが、ラストで重要になるんでしょうかね。

 

 

 

 

全く苦悩してないのが醍醐景光と多宝丸。

 

まず景光。冷酷で野心的で向こう見ずな面はありますが、それでもやっぱり、私が彼の立場だったらそうもするだろう感が強く同情的です。

 

人の命なんか虫けら同然の世界観、世界のルールを決めてる側は一国の天候や豊凶すらも自分の好き勝手に操って人間を翻弄してます。

 

実際の歴史では中世の飢饉疫病戦争は当然神や悪魔が引き起こしたものではなかったけど、この、鬼神がどうとでもできる最悪世界では、領主としては、連中にいけにえを差し出せば国が豊かになるんなら、そりゃ差し出しもしますって。

 

鬼神の約定システムはダークサイド側に有利なルール。

 

我が子一人のいけにえだけで国民みんなが救われる超お得コスパ。

 

ましてや我が子はちゃんと「予備」ができましたし。

 

 

 

その予備である多宝丸。本当にぬるいボンボンだと思います。

 

国のためにと兄を殺す覚悟を決めたくせに、自分の義兄弟の命の危険には動揺します。

 

瀕死の陸奥は自分が先が長くないと悟ると地獄堂に自らいけにえになりに行きましたが、それはまー合理的な判断なのに多宝丸は止めようとします。

 

そして陸奥にはいけにえの価値がないとラスボス鬼神に却下されると、なぜか怒りを百鬼丸に向けるという支離滅裂っぷり。景光に比べると本当に甘い男です。

 

景光は国(自分)のためならいざってときは妻も次男も切り捨てられそうですが、その次男坊はそこまでパパのようにはなれないようです。

 

ただ一点だけ景光より見上げたと思える点は、自分で行動するところ。

 

景光はいつも立ってるだけ座ってるだけですが、多宝丸は自分で動き自分で戦い、とうとう自分自身を約定システムの一部へと投じてしまいました。

 

私は驚いたと同時になんか見直しました。

 

と言っても元々ボンボンなところそう嫌いじゃないです。

 

アニメの初期は興味湧かなかったキャラですが後半の予想外の大活躍が見事です。

 

たしか原作でも大したキャラじゃなかったんでしたっけ。良改変。

 

 

 

このアニメの登場人物はみんな「お前それはちょっと……」なところと「そうする気持ちは分かる」ってところの両方があるような気がします。

 

その場の感情で生きてる縫の方、百鬼丸に義足を作らなかった寿海、傍観者でいたがってるっぽい琵琶丸

 

 

 

でも彼らがこんな目に遭ってるのは全部、この世の森羅万象を鬼神どもに握られてる世界観のせいです。

 

仏なんて百鬼丸が生まれたときに頭だけを守ったくらいで、あとは何にもしてくれず、荒れ放題の生き地獄。

 

どんな結末になるのやら。

 

エンディングとか見るに、百鬼丸が自分の目でどろろの顔を見ることは間違いないとは思うのですが、それはラスト多宝丸もラスボス鬼神もみんなみんな死んで滅んで、百鬼丸が死ぬ間際に一瞬だけ、一人生き残ったどろろを瞳に映して死ぬっていうパターンかもしれません。

 

 

マジでこんな世界観作った奴は誰だ!

 

あいつか!?

 

シリーズ構成小林靖子か!?

 

 

 

 

 

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