河出書房新社 ユヴァル・ノア・ハラリ著 柴田裕之訳 「ホモ・デウス」の上巻読みました。
頭のいい人が一般の人に向けて分かりやすく、難しい話とか新鮮な話とかしてくれる本で読んでて感心することばかりでした。
翻訳してる人もめっちゃ頭いい人っぽい。
前にこの人の「サピエンス全史」読んでみたらがすごかったので、その続編的存在であるこの本も読みたいとずっと思っててようやく上巻だけ読めました。
下巻はいつ読めるだろう。
この本は「新鮮な話」とは言いましたが、内容を超ぶっちゃけると「これからの人類はテクノロジーの発達のおかげでかつてない時代が訪れるよ」って感じで、そのこと自体は現代人なら誰でも漠然と思ってることだと思います。
でもそのことを、すごい具体的にかつ分かりやすく丁寧に解説してくれてて、「人類すごいな」とか「人類ろくでもないな」とか改めてしみじみと感じることができました。
タイトルのホモ・デウスっていうのは(作者の造語なのか)、我々ホモ・サピエンスの次の人種の名前です。
ホモ・エレクトスとかネアンデルタール人みたいに我々ホモサピも旧人類となり、ホモデウスに霊長の座を取って変わられる運命です。
ホモ・デウスがどうやって誕生するかといえば、もちろん遺伝子工学によって。
人類は常に病気と戦い続けるわけで、遺伝子疾患で苦しむ人も救おうとするのは当然なわけで、ちょこっと遺伝子を操作したらそういう苦しみから救われるとしたら、そりゃするでしょう。
それで、遺伝子をいじくれば病気にならずに済むというなら、もうちょっといじくれば、すごい知能、身体能力、美貌をも手に入れるのも不可能ではないわけです。
もし、若い夫婦がそこそこの金額で我が子をそうできると言われたら拒否できるだろうか?
仮に自分らがしたくなくても、よその家庭がみんなそうしたら、我が子は生まれる前からよその子に絶対競争で勝てない人生が確定します。
そうして将来ホモサピの子どもたちはみんないわゆるデザイナーズベビー、つまりホモ・デウスとなりホモサピは時代遅れの劣等人種となっていきます。
「なるだろうなあ~」ってマジで思います。
そんな世の中はリベラル的な人々は「命の選別」「優性思想」と言って反発します(してます)が、その人達だって我が子にだけはこっそり遺伝子操作するでしょうね。
絶対せずにいられませんて。
あと、人類は病気だけじゃなくて、戦争や飢餓ともずっと戦ってきました。
でももう今はこの3つは、完全にではないですが、かなり撲滅できてしまいました。
それは人類の歴史にとってはとてつもないことなんだそうです。
私がこの本読んで一番驚いたのは、2012年、全世界で、戦争や犯罪で殺された人は62万人いたのに対して、糖尿病で死んだ人は150万人以上いたってことでした。
今の地球は銃や刃物や暴力で死ぬ人より砂糖で死ぬ人のほうがずっと多い。
マジか。驚きました。
作者がイスラエル人なので、戦争に関しての話は現実味あります。
病気も、昔の人はペストや天然痘はなぜ起きるのか分からなくて神様に祈るしかなかったけど、今の人は新しい伝染病が発生してもそれを鎮めるために神様に祈るよりもまず科学的で技術的な解決を模索します。
もう人類にとってこの3つはさほどの脅威ではなくなったことが具体的に理解できます。
じゃあ人類は次は何を目標に生きるのか?
神様はもう必要ないし。
やっぱ、自らが神様のようになっていくことでしょうかね!
それこそホモ・デウス。
この本は、人類がどうしてきたか、どうなっていくかをじっくり読ませてくれます。
いろいろ豆知識とかも豊富なので本当に感心してばかりでした。
なんかめっちゃ説得力を感じました。
ホモ・デウスの時代くるで。これ。
でも私はその前に歯の再生治療をしてもらいたいです。